こんにちは。
しゃべらないカウンセリングの山名です。

前回は、
「人とつながるための自律神経」
という話の中で、

自律神経は2つではなく、
以下の3つがあることをご紹介しました。

  • 腹側迷走神経 ※つながる自律神経
  • 交感神経 ※逃げる・戦う自律神経
  • 背側迷走神経 ※閉じこもる自律神経

副交感神経の中には、
強制シャットダウンする
「背側迷走神経」と、

落ち着きとつながりを取り戻す
「腹側迷走神経」があり、

この、「腹側迷走神経」を
使うようにしていくことが
ラクになっていくヒントなんでしたね。

・「人とのつながり」をつかさどる自律神経の解明

あ、そういえば
読み仮名を言ってませんでしたね。

腹側迷走神経は
(ふくそくめいそうしんけい)

背側迷走神経は
(はいそくめいそうしんけい)

と呼びます。
※私は「腹側(ふくそく)」「背側(はいそく)」と
略してよく使っています。

今回は、
これらの自律神経の特徴を踏まえ、

あなたが何となく知っていたトラウマを
もう少し偏見なく身近に感じてもらえる内容になっています。

そして、
なぜか緊張して動けなくなってしまう、
そんな人がどのような状態になっているかが
理解できるようになります。

では、今回もいってみましょう~(^^)

自律神経の優先順位

これらの自律神経には優先順位があります。

  • 第一選択肢:腹側迷走神経 ※つながる自律神経
  • 第二選択肢:交感神経 ※逃げる・戦う自律神経
  • 第三選択肢:背側迷走神経 ※閉じこもる自律神経

私たち哺乳類は、
危険な時につながりを求めるよう、

腹側迷走神経を発達させ、
これを第一選択肢として使ってきました。

ただ、何らかの理由で
それが使えなかった場合、

一つ古い、四足歩行の時代にできた
闘ったり・逃げるための交感神経を
第二選択肢として使います。

もしそれも使えない
(闘えない・逃げられない)状態になったときは、

原初の時代の消化吸収システムである、
背側迷走神経が最後の手段として使われます。

あなたはどんな方法で対処しますか?

例えば上司がイライラしていて、
場の雰囲気が悪かったとします。

余談ですが、
なんか周りの機嫌が悪いと、

自分が悪いのかな?とか
思ってしまったりします(^^;)

で、この時の対処方法は
大きく分けて3つです。

  1. コミュニケーションをとってなだめようとする
    (「まあまあ、そんな怒らずに」って感じですね)
  2. 口論をして解決をはかる
    (いわゆるバトルです)
  3. かかわらないようにする、閉じこもる

さて、あなたはこれらのうち、
どの方法をよく使いますか?

もしくは使うとしたらどれになりそうですか?

 

そうなるとおそらく、
面倒なことに巻き込まれたくないと、

3.を選ぶ方が多いのかもしれません。

ただ、これはいつもそうではなく、
もし仮に身近な人がそうであれば、

口論でバトルしたり、
心配して話を聞いてみたり、

ケンカが起こっていれば
間に入って仲裁をしたりと、

その対処法が変わってくることも
十分考えられます。

なぜそのような
質問をしたかというと、

さっきの3つの対処法は、
そのままそれぞれの自律神経の
特徴と同じなんです。

  • コミュニケーションをとってなだめようとする
    ⇒腹側迷走神経
  • 口論をして解決をはかる
    ⇒交感神経
  • かかわらないようにする、閉じこもる
    ⇒背側迷走神経

どんな方法で対処するかによって、
あなたの優位な自律神経がわかるというわけなんです。

周りは見過ごし、そして自分は気づかない

そして
これらを使うバランスは
人によって様々です。

嫌な人といるときは、
ずっと戦闘態勢になっているけど、

好きなことをしているときだけ、
うまくコミュニケーションを
取れている場合もあります。

そのように、
目に見えて変化のある方は、

自分から見ても周りから見ても
その変化に気づきやすいのですが、

本当は苦しみを抱えているのに
見過ごされてしまっている人がいます。

それは
「口数が少なく、おとなしくしている人」
なんです。

はたから見れば、
おとなしくしているように見えるので、
だれも気には留めないのですが、

実は、その自律神経のバランスが
イヤな方向に大きく傾いている可能性があるんですね。

筋肉も使わなければ
やせ細ってしまうように、

神経も使わなければ、
衰えてしまいます。

じっとおとなしく
してしまっている人は、

つながりの神経も
活動する交感神経も使う機会を失っており、
シャットダウンの神経ばかりを使ってしまいます。

本人もおとなしいということは自覚していますが、
シャットダウンしていることには
なかなか気づけなかったりするんですね。

シャットダウンとトラウマ

では、なぜそのように、
つながりの神経が衰えて
シャットダウンの神経ばかり使ってしまうのかというと、

そこに「トラウマ」が関わっているからなんです。

トラウマって聞くと、
何か「とてつもなくひどい出来事」って感じで、

人によっては、
「私にはおおよそ関係ないこと」と
思われる方がいらっしゃるかもしれません。

でもそうではないんですね。

誰でも経験したことがある、
もしくは、誰にでも起こりうるものなんです。

では、「トラウマ」とは一体何なんでしょうか?

トラウマとは何か?

人間の身体には、
精神的・肉体的ショックに
耐えるための力が備わっています。

このショックに耐えるのが、
自律神経を中心とした神経系です。

ただ、
そのキャパシティを超える
ショックを受けてしまうとトラウマになります。

つまり、トラウマとは、

人間の身体に備えられている
「脅威に対応し、乗り越える力」が
圧倒された時に起こる、
心身を衰弱させる症状

のことを言います。

トラウマで失ってしまうもの

トラウマにおける
最大の特徴とは、

この圧倒される経験の余波として、

「つながり」を失ってしまうことなのです。

その「つながり」とは、

自分自身とのつながり
他者とのつながり
そして周囲の世界とのつながり

これら全てを失ってしまうのです。

 

独りぼっちで、
どうしようもできない感覚。

そうなってしまうと
すごくつらいですよね。

トラウマは神経系の中にある

ただ、
同じ経験をしても、
トラウマ症状が出るかどうかには個人差があります。

  • 年齢
  • 遺伝
  • これまでのトラウマの有無
  • 家族のパワーバランス
  • 本人の感じ方・性質

こういった要素によって、
神経系の回復力が異なってくるためです。

つまり、
トラウマは出来事の中にあるのではなく、
神経系の中にあるわけなんです。

 

これまでトラウマは、
精神的な弱さの問題であったり、
脳の病気であるように考えられていましたが、

体の生理的な反応に
関わってくるものだと理解され始めたのです。

それは弱さではなく、
あなたの繊細さであったり、
敏感さを表しているともいえますね。

では、トラウマは
どんな時に起こってしまうのでしょうか。

トラウマの原因

「トラウマ」には4つの要素があります。

  • Unexpected(予期しない)
  • Dramatic(ドラマチックな)
  • Isolating(孤独な)
  • No Strategy(作戦のない)

つまり、
突然の衝撃的な出来事が起き、
誰にも助けを求められず、
どうしたらいいのかわからない状況。

大きな災害や事故、もしくは虐待などに遭った場合、
この4つの要素を満たしています。

 

けれども、トラウマとは
こういった大きな出来事だけではありません。

日頃から、
言葉や態度で傷つけられていたり、
怖いことがあっても助けてもらえなかったり、
イヤだと思っても、イヤだと言えないまま従わざるをえなかったり、

そのような日常的な出来事もトラウマの原因になり得るのです。

トラウマの症状

トラウマを経験すると
シャッタダウンが起きやすいとお話ししましたが、

他にもこのような症状が
現われることがあります。

  • 過覚醒(心拍上昇・発汗・緊張・思考が止まらない・不安など)
  • エネルギーの低下(無力感・動けない)
  • 知覚の狭窄(視野が狭くなる)
  • 解離(自分でないような感覚)
  • 反復強迫(問題を自ら作り出してしまうな行動)

※これらはトラウマ以外の原因で症状が出ることもあるため、
必ずしもトラウマと断定することはできません。

「凍りつき」反応とは

では、
トラウマの影響を受けているとき、
身体では何が起こっているのでしょうか?

それが
「凍りつき反応」です。

※凍りつき反応は、
シャットダウンと同じような意味合いで
もらえば結構です。

凍りつき反応とは、
私たちを含めた動物が、
生き残るための「防衛反応」の一つです。

何度もお話ししている通り、
動物が危険を感じた時、
逃げるか戦うかという反応を取りますが、

危険が大きすぎて、
「逃げる」ことも「闘う」こともできない時に、
「凍りつき反応」が起こります。

特徴としては次のようなものが在ります。

  • 動きがなくなる
  • 身体の感覚を感じなくなる
  • 記憶があいまいになる

先ほどお話しした、
じっとおとなしくしている人に
このような特徴があるのではないでしょうか?

サボっているつもりでも
休んでいるつもりでもなく、

この「凍りつき反応」のために
そのように見えてしまっているわけなんです。

野生動物はなぜトラウマにならないのか?

サバンナにいる
インパラやガゼルなどの草食動物。

群れをつくって
ライオンなどの肉食動物から
いつも命を狙われています。

凍りつき反応は
野生動物にも見られますが、

人間と違って、
深刻なトラウマ症状を示したりはしません。

そう考えると不思議な感じがしますよね。

そういった、
常に危険にさらされている野生動物が、
なぜトラウマの症状を示さないのか、

そのことに着目した研究者は、

野生動物の観察や、
神経生理学的研究を行なったのです。

そこからわかったことが、

  • 凍りつき反応に対する抜け出し方
  • トラウマを解消する方法

に大きな示唆を与えることとなりました。

では次回、

野生動物は人間と違って
なぜトラウマにならないのか、

そしてどうやってトラウマから抜け出し、
心地よいつながりを作っていくのかを
お話ししていきたいと思います。

 

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