ツラい人間関係が自然とラクになるセラピーをやっています

しゃべらないカウンセリング

嫌なことは避けられないしなくならない。なくすのではなく包み込むということ

更新日:

こんにちは。
しゃべらないカウンセリングの山名です。

前回は、
トラウマ時に起こる「凍りつき反応」について
お話ししました。

すこし前回のまとめをしますね。

「凍りつき」とは、
アクセル(交感神経)と
ブレーキ(副交感神経)を同時に踏んで、
前にも後ろにも進めない状態で、

かつ「闘う」「逃げる」の
エネルギーを解放できない、
圧でパンパンのペットボトルの状態のことでした。

このときは、
強制シャットダウンが
かかってしまっているため、

  • 動きがなくなる
  • 身体の感覚を感じなくなる
  • 記憶があいまいになる

といった反応があらわれ、
この閉じ込められた凍りつきのエネルギーが
様々な心身の不調の原因となります。

 

では、常に命を狙われる野生動物が
なぜトラウマにならないのかというと、

野生動物は危機が去ると、
凍りつきのエネルギーを自然と解放することができるからで、

それに対して人間は
知性が邪魔をするため、
エネルギーの解放が難しくなってしまう。

そのため、
知性だけではなく、
本能的な部分にアクセスすることが必要、
というところで前回は終わりました。

・野生動物に学ぶトラウマを抜け出す方法

 

では「本能にアクセスする」とは、
一体どういうことなのでしょうか。

今回は、セラピーにおいて
間違えたり失敗したことから学んだ、

嫌なことはなくすのではなく
包み込むということ

についてなど、

よくなる上で大切なことを
ギュギュっと凝縮してお伝えしていきます。

本能が理解する「身体の感覚」という言語

人間の脳は進化の過程により、
3つの脳を持っています。

  • 爬虫類脳(本能)
  • 哺乳類脳(感情)
  • 人間脳(理性)

これらはその名前の通り、
古い動物のものから順に、
覆いかぶさるようにできています。

  • 爬虫類脳(本能):脳幹
  • 哺乳類脳(感情):大脳辺縁系
  • 人間脳(理性):大脳新皮質

 

で、トラウマに対しては
どうするかというと、

「本能にアクセスする」ので、
この爬虫類脳とコミュニケーションを取っていきます。

 

ただ、コミュニケーションといっても、
爬虫類脳は言語を理解できなくて、

爬虫類脳が理解するのは、
言語ではなく「感覚」です。

つまり
本能にアクセスするためには、
身体の感覚を感じることが大切なんです。

 

どのようにしていくかというと、
頭で考えている思考を鎮め、

身体の内部の感覚に注意を向け、
ただそれを体験していく。

起こっている感覚にただ気づき、
それを味わい、観察し、変化についていく。

起こってくる感覚には、

  • 胸のあたりがモヤモヤする
  • 胃のあたりがせりあがっている感じがする
  • お腹があたたかい感じがする
  • 指先が冷たい感じがする

などなど、
身体の特定の部分にあらわれますが、
これらはほんの一例にすぎません。

そして、
こう感じるべきという正解はありませんし、
そんなことを感じるのは間違いだということもありません。

身体の感覚は、
何を感じても大丈夫です。

トラウマの不快感や恐怖感に見合うだけのエネルギーをつくる

ただ、
現代社会に暮らす私たちのほとんどは、
解釈やコントロールをせずに
身体感覚に注意を向けていく体験に慣れていません。

このような
身体の感覚に注意を向ける体験を行ない、
理性や思考によって
覆いかぶさってしまっている本心を
ゆっくりと聴いていくのが

「しゃべらないカウンセリング」なんですね。

 

ちょっと話がそれましたので元に戻すと、

トラウマを解放していくためには、
この身体感覚にアクセスすることが必要ですが、

トラウマ的な感覚にはとつもなく大きな不快感と恐怖感をともないます。

ちなみに、トラウマと気づかない症状には、

  • 動きがなくなる
  • 身体の感覚を感じなくなる
  • 記憶があいまいになる

といったものがありますが、
これらの反応は、そうした不快な感覚を逃れて
日々生き延びていくための防衛策とも言えます。

ですので、
感じることが大切だからといって、

不快な感覚に無理に飛び込むことは
再びトラウマを味わうことになりかねないので
避けなければなりません。

トラウマは、
神経系が圧倒されること
だとお話ししましたが、

その圧倒されて完了できず、
今なお続いている反応(防衛反応)に
できるだけ安全でハードルの低い方法で取り組み、
ニュートラルな状態に戻していくことが必要なんですね。

そのためには、
トラウマに見合うだけの拮抗するエネルギーが必要になってきます。

それはつまり、
「安心」や「リラックス」であったり、
「心地よさ」や「いい感じ」などを
十分に感じ取れる力を開発していくということです。

自然なリズムを取り戻す

トラウマの影響を受けているとき、
神経系はイヤな感じに傾いています。

リラックスできずに緊張が続いたり、
怒りがいつまでたってもおさまらなかったり、
周りの目が恐くて安心できなかったり、

そういった不自然な状態を、

  • 緊張ーリラックス
  • 怒りー落ち着き
  • 恐怖ー安心

といった
自然なリズムに戻してあげることをしていきます。

これは大がかりなことや
難しいことをする必要はなく、

あなたにとって「いい感じ」がするものを
日々の中で意識して見つけ、十分味わうだけでOKです。

  • 安心できる人や場所
  • ペット
  • 趣味
  • 音楽
  • アート・色・景色
  • セルフケア

自分の気持ちをわざと持ち上げるのではなく、
自然と「いい感じ」がするポジティブなものを
選んでみてください。

正しい・正しくないといったジャッジは必要ありませんし、

たとえそれがイヤな感じに変わったとしても、
その方向に意識を向けることが新たな流れを引き出します。

私たち人間を含む生物には、
必ず振り子のように行き来するリズムがあります。

イヤなこと、悪かったことがあっても
あわてずあるがままでいれば、
いいことやよいことが訪れる。

トラウマの影響を受けていたり、
ツラくて落ち込んでしまっていた時は
なかなか感じることができないですが、

この
「不快な感覚は永遠につづくのではなく、期限付きである」
ということを身体で実感することは、

このうえなくホッとする体験であり、
前に進む力の感覚を与えてくれます。

心の器を作る

今申し上げたような、
「いい感じ」のするものを「リソース(資源)」といいますが、

私はこのことを
「心の器をつくる」と表現しています。

その例として、
精神科医の神田橋條治先生が使っておられた
「まんじゅう」の例がとっても好きです。

「苦しみがおまんじゅうの「あんこ」だとしたら、セラピストが行うべきことは、まず「おまんじゅうの皮の部分=おまんじゅうの全体の容量」を十分に厚くしていくことだ。皮が薄ければ、あんこは薄い皮を突き破って簡単に外に飛び出してしまう。」

つまり、
あんこを包む皮の部分が
大きければ大きいほど、
全体に対するあんこの割合が減っていくので、

あんこ自体は減らなかったとしても
苦しみは減っていきます。

日々どうしても
イヤなことやツラいことは避けられませんし、
神経系を刺激することも多くあります。

ツラさや苦しみをなくそうとするのではなく、
いかにその負担を減らすことができるか、

そういった
あんこを受け止めることができる
皮の容量を増やす、つまり、

苦しみを受け止める「心の器を大きくする」
ことを重要視しています。

これはもちろんトラウマにに対しても言えることです。

「苦しみはなくすのではなく包み込む」

そんな、
包み込めるような器を作りたいと思っています。

レス・イズ・モア(Less is more)とセラピー

最後に私の好きな言葉をご紹介します。

「Less is more」

「Less is more」は、
ドイツの建築家、ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。

彼はドイツの建築家で、
ル・コルビュジエや
フランク・ロイド・ライトと並ぶ、
近代建築の三大巨匠のひとりで、

「God is in the detail」(神は細部に宿る)

という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

この「Less is more」も
建築について語られた言葉で、

「より少ないことは、より豊かなことだ」

という意味で、

持たない暮らしを提唱するミニマリストや、
シンプルイズベストに通じる言葉だと思います。

 

この「Less is more」、

元NASAのストレスコンサルタントで、
トラウマセラピーの第一人者、ピーター・リヴァインはこの言葉をこう表現しています。

「癒しのプロセスは、劇的でなければないほど、またゆっくりと起これば起こるほどより効果的である」

癒しのプロセスは、
黒から白に変わることが全てではなく、

黒からグレーに、
その色が白に近づくそれぞれの過程の中で、
喜びを感じられるものだと私は思います。

外からの基準ではなく、
あなたがその時その時感じた
喜びや心地よさを大切にしてくださいね。

 

今回はココまでです。

次回は、
私自身のお話と、
実際のセラピーでどのようなことを
しているかについてお話しして終わりたいと思います。

 

お読みいただきありがとうございました。
また次回お会いしましょうね。

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